農業女子vol.3 角田みどりさん 自然農に挑戦中!


キラリと輝く感性で地域の農業を盛り上げる“農woman”を取材!

2015.12.7

夫婦で野菜農園を営む、横浜市都筑区の角田みどりさん。
雑草も土づくりに生かす自然農への挑戦や、女性農業者グループの直売会の取り組みについて伺いました。

専業主婦から野菜農家へ

ブロッコリーが収穫期を迎える11月、都筑区東方町の角田みどりさんの畑を訪れました。「こっちはブロッコリー、向こうが茎ブロッコリー。ただずまいが違うでしょう」。愛おしそうに、野菜たちを紹介してくれました。

3人の子どもを育てる専業主婦から、脱サラした夫の豊さんとともに農業の道へ。
「花の鉢も枯らしてしまう性格で、農業はできないと思っていたの」。そんな角田さんが、豊さんを手伝ううちに、農業のとりこになっていきました。くわで土を起こしたり、野菜にかける網を上手にかけたり、農作業の一つひとつに、達成感を感じたそうです。

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大切に育てた野菜を手にする角田さん。都筑区東方町の畑にて

自然農への挑戦

おっとりとした印象の角田さんですが、新しいことに次々と挑戦しています。豊さんとともに営む野菜農園「ファームG&R」は、自らのアイデアでメールによる受注販売の仕組みをとっています。そうすることで、少量多品目の野菜をロスを少なくして販売することができます。

さらに、2014年9月からは無農薬で、堆肥も含め肥料を使わない野菜づくりを始めました。畑一面にわらを敷き、一般的に邪魔者扱いされる「雑草」も刈らずに、土を豊かにする植物として野菜と共存させます。味が濃くて、おいしい―。「自然農」と呼ばれる農法で育てられた野菜を口にしたときの、感動が原点にあります。
すでにパクチーの収穫に成功し、販売しています。畑ではジャガイモやダイコンがゆっくりと育っています。いずれ、さまざまな作物を販売できるまでに育てていきたいと考えているそうです。

女性の感性で直売会を

もともと農家ではなかった角田さん。本格的に農業に取り組み始めたころ、JA横浜主催の女性農業者講座に通いました。そこで知り合った仲間たちと、2012年に「横浜ベジフルレディ」を結成。メンバーは30~60代の野菜と果樹農家の女性たち。野菜の「ベジ」と、フルーツの「フル」を合わせたネーミングです。「女性ならではの視点で、勉強がてら直売会をやってみませんか」と声をかけ、実現させました。

最初の直売会は2012年6月、横浜市の山下公園で開きました。テーブルクロスやかごをあしらい、普通の八百屋さんとはひと味違った店構えに。
「これはどんなふうに食べるの?」「これ、おいしいわよね」。女性が並んでいると、明るい雰囲気で話しやすいのか、お客さんとの会話が弾んだそうです。持ち寄った野菜は完売となる盛況ぶり。以来、横浜市内で年に数回、直売会を続けています。

回を重ねるうちに、ユニークな体験コーナーも取り入れました。メンバーの特技を生かし、乾燥させたハーブを束ねた「ハーブスティック」のワークショップや、野菜の花の名前あてクイズ。親子連れはもちろん、年配の方もクイズに参加して、盛り上がりました。

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直売会ではお客さんとの交流が生まれる。
12月2日、アートフォーラムあざみ野

ある直売会で野菜を買ったお客さんが後日、「大事に食べなくちゃ、と思ったんです」と話してくれたといいます。その言葉が、角田さんの心に強く残っています。

土づくりから種まき、間引きなど、さまざまな工程を経て、ようやく収穫できた野菜たち。その過程まで、外からはなかなか見えません。それでも、「心を込めて育てていることが、自然な会話で伝わったのかなと思いました」と直売会の手応えを語ります。
女性たちのグループだからこそ、出産や育児、介護などでメンバーがどっぷりと活動できない時期もあります。細くとも、長く続けていくことを大切にしています。

新しい取り組みに挑戦するだけでなく、長期的な視点を持って地道に取り組む姿勢が印象的な角田さん。思いの詰まった農園に10年後、20年後、どんな野菜たちが育っているのでしょうか。

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直売会では自然農で育てる「Midori Garden」の野菜も並んだ。

角田さんの野菜農園 ファームG&R

野菜販売ロッカー住所 都筑区桜並木22
野菜メール配信希望の方 farmgr.info@gmail.com

過去の記事はこちらをご覧ください。
農業女子vol.2 松本こずえさん(横浜市港北区・野菜農家)⇒
農業女子vol.1 石川弥生さん(横浜市都筑区・野菜、果樹農家)⇒