[イベントレポ]やまきたで暮らしてみようツアー
人生のタカラを見つけに、山北へGO!
〜仕事場見学と制作体験〜


紅葉の丹沢湖2016年11月23日(水・祝日)9:00〜16:00
主催:やまきたで暮らしてみようフェア実行委員会
後援:山北町/山北町商工会/山北町観光協会/公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会小田原支部

晩秋の紅葉を楽しんだ体験ツアーの翌日は、なんと11月には珍しい初雪。そんな季節の移り変わりを感じつつ「山北の魅力」を発見できて満足でした。

今年3月に続く2回目の訪問で自然豊かな山北がさらに見えてきました。ツアーに参加した方々の、目で見て体感したいというエネルギーが伝わります。制作体験あり、仕事場見学あり、そして、移住者との交流ありと盛りだくさんの1日。山北暮らしの一旦に触れることができました。

大型バスでゆったりツアー、車中で自己紹介

バスで出発
移住を具体的に考えている参加者が多いことに驚きました。山北をめざす目的はさまざまです。もっと山北を知りたい、情報を共有していきたいという思いや夢を1分間スピーチで語ってくれた皆さんでした。

子どもを自然豊かな地域で育てたい

キャンプや登山で山北を訪れているという女性は4年生の女の子と一緒です。そしてもう一組の子連れ夫婦は、自給自足のライフスタイルを夢見て初参加。どんな場所かな、どんな人が住んでいるのかな。自分たちに合うかをしっかりと確かめたいそう。また、被災地の子どもたちを山北に招待する活動をしているという60代の女性は、この地でモノ作りもしてみたいと語ってくれました。

古民家でゲストハウスを経営したい

長年会社勤めをしていた40代の女性は、外国人向けの施設を計画中とのこと。すでに箱根のゲストハウスで働いた経験もあり、山北でも場所探しをしている行動派でした。地域活性化にも役立ちたいと夢をもっています。

自然の中で自分を見つめ直したい

ロクマルサミットにも参加したという女性は、60歳からの暮らし方を自ら提案していきたいとも話していました。以前経験した森林セラピーの心地良さを求め、県のホームページでこのツアーを見つけたそうです。そして、20代の看護師をめざす学生は、体験を語ってくれる看護師さんと話をしたいと参加してくれました。

山好き講じて定年後は森林ボランティア

登山が趣味という男性は、定年後に県の森林インストラクター講座を勉強して森林保全活動をしているそうです。山北の知識をさらに深めたいという目的があり、今回は夫婦での参加です。

サンドブラスト体験……丹沢湖記念館

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10時すぎに丹沢湖記念館に到着。山北町移住対策室からのオリエンテーションと、硝子工房 流限の原田哲郎さんによる体験教室スタートです。

サンドブラスト会場風景

サンドブラストはガラスに砂を吹きつけて磨りガラス状に削る技法

今回は自分で絵柄を考える作品づくりです。研磨用の砂を吹き付ける最後の工程は原田さんが進めてくれ、夕方、My Glassを受けとりました。仕上がりはテープをはがしてからのお楽しみです。ワクワク感がありますね。

カッターで切る

おしゃべりしながらも真剣に。皆さん絵心があります

テープにイラストの輪郭を描いてガラスコップに貼りつけ、カッターで絵柄をなぞるようにカットしていきます。

絵心ある作品あれこれ
「テープに覆われていない表面が白い磨りガラス状になりますよ。デザインを線ではなく面で表現するイメージです。気泡やシワが出ないようにテープを貼りましょう」と指導する原田さん。わかりやすいレクチャーでした。

丹沢湖畔の宿「落合館」でランチタイム

季節の食材をふんだんに使ったお料理を楽しみました。ヤマメ(山女魚)の甘露煮は骨までいただける名物料理だそう。温かい汁物もうれしい昼食でした。
ランチタイムお昼のお食事

仕事場見学&吹きガラス体験……硝子工房 流限
丹沢湖をあとにさらに山奥に向かいます。全国名木百選の樹齢1.000年ともいわれる「ほうき杉」を通過し、静寂に包まれた工房に到着しました。

古民家を改装したガラス工房

硝子工房到着
原田さんは、ガラス工芸に魅せられて脱サラし、環境のよい仕事場を求めて30代で山北に移住。20年以上放置されていた民家と出会い、ほぼ自力で工房兼住まいに改装補修しました。体験教室や展示販売をしながら制作活動をして今年で3年目になります。

吹きガラスは溶けたガラスに空気を吹き入れて成形する技法

溶鉱炉と原田さん
吹きガラスといえばルツボの中でガラスが真っ赤に溶けている光景を思い浮かべます。1.000℃以上の高温で水あめ状に溶けたガラスをパイプの先に巻き付け息を吹き入れて膨らませます。

息を吹き込む

10歳の女の子が吹きガラスに一人で挑戦

部屋は溶鉱炉の熱気に包まれています。まずは原田さんがルツボのなかでガラスを巻き取り、その間に完全装備の体験者は作業台に座ってスタンバイ。メインイベントの息を吹き込む作業は周りにいるオトナも緊張しました。

体験者が成形
休む間なく道具を使って成形です。ガラスはまだ高温。気を抜かずに手早く形を整えて終了し、一晩かけてガラスを冷やしていきます。

原田さんの作品を展示販売

グラスやカラフルな小物たちが陳列されている1階ショップでは、皆さん、原田さんの話に耳を傾けながら、好みのガラス細工に触れ、お気に入りの作品を探していました。
工房ショップの作品工房ショップで見学

山北駅付近までバスで移動し、産業まつりを自由見学

地元野菜ブース
健康福祉センター前の産業まつりは、さまざまな展示ブースで賑わいをみせ、山芋や柚子、キウイフルーツなどの特産品の販売は晩秋ならでは風景でした。

移住体験を聞く……サンライズやまきたコミュニティホール

ホール風景と町長
山北で新生活をはじめている20代と40代の移住者から、今だから話せる実体験を聞く交流会でした。

町長の湯川裕司さんのご挨拶。おすすめの見どころは

まずは来て感じてください。そして「ホタルの家」でお試し移住をしてほしい、と山北暮らしを支援するさまざまな制度を紹介。観光のおすすめは、駅近くの「桜の湯」や中川温泉の「ブナの湯」、見晴らし抜群の河村城跡歴史公園や都夫良野公園だそう。また、2016年に再始動した山北鉄道公園の「B52」は、ここでしか見られない蒸気機関車として自慢できますと山北のアピールでした。
山北町の資料

◆◆◆ 移住体験談 ◆◆◆
東海林真純さん 看護師 森林セラピーガイド

東海林さん仕事中の東海林さん

山北を選んだのは通勤圏であり町の人たちのやさしさ

横浜市で訪問看護の仕事をしていた東海林さんは、2年前に山北地区に移り住み、現在は、町立やまきた診療所の看護師として勤務しています。

移住前は時間に追われるゆとりのない生活でした。今は山北時間に助けられてストレスが減り心身ともに楽になった、と笑顔で話してくれました。

森林セラピーガイド(山北町 森のおもてなしガイド)

東海林さんは森林セラピーガイドの育成講習を受け、この秋にガイドデビューしました。森林セラピーは自然との共存であり癒し効果があることが知られていることから、自然を通してみんなに元気になってもらいたいそうです。

花坂拓人さん パン屋のリヤカー店店長、NPO法人共和のもり事務員

花坂さんパンを販売する花坂さん

大学卒業後は山北の町でパンの引き売り

鈴を鳴らして町内を歩きパンを売る毎日です。本日は参加者の皆さんに手作りパンのお土産があるとのことでした。

学生時代に体験した地域振興で魅力的な山北を知った

岩手県出身。茅ヶ崎市の大学を卒業。授業で定期的に山北に通うようになり、森づくりや地域が主体となっている地域振興に関わっていた花坂さんは、もう少し山北にいて何かを発見したいと、縁があったパン屋に就職。今は共和地域にあるシェアハウスで生活し、情報発信の仕事もしています。

地域のタカラ「共和地域」に今夢中である

共和地域は交通が不便なために人口減少が懸念されています。そんな場所だからこそ活性化にエネルギーを入れ込んでいけそうと語る花坂さん。酪農や林業など新しい試みが始まっている今、花坂さんは町おこしを支援したいと、母校の学生や教授を活動に引き入れようと動き回っています。これからは山北に集まる仲間のサポート役にもなりたいそうです。

               ◇◇◇
車中ではお隣同士「山北で暮らしたいね」という話題で盛り上がり、山北移住に一歩近づいた参加者もいたのではないでしょうか。30、40代の参加者たちは、子どもを自然豊かな環境で育てたいという思いをさらに強くしたとのこと。一方、ロクマル世代にとっても、山北はこれからの暮らし方の選択肢として期待がもてる、と手応えを感じたそうです。