まちづくりびとに聞く!<1>
地域に開かれた保育園を
NPO法人もあなキッズ自然楽校理事長 関山隆一さん


食や地域づくりへの想いを届ける、2016年新春インタビュー

2016.1.22

都筑区を拠点に、自然体験活動を軸にした保育施設の運営や、小学生を対象にした自然体験活動を実施しています。保育園は「森のようちえん」というスタイルを取り入れ、雨の日も寒い日も毎日、地域の公園や緑道に出かけます。園庭がないというと、ネガティブな印象を持たれがちですが、逆手に取って、いかに地域の環境を生かすか工夫しています。

関山さん

「子育ては未来を創ること」という理念のもとに活動する関山さん

作り手の顔が見えるものを

桑の実やタケノコ、柿、どんぐり、梅、みかん…。外を歩くと、たくさんの食物に出会います。においや手触りを通して、子どもたちの感性が養われます。また、区内で3か所の畑を借り、野菜を育てています。給食で扱う食材は、作り手や流通経路が分かるものを選び、園内のガラス張りの給食室で作っています。さまざまな食の体験を通して、「命をいただく」ということを学んでいます。
外でたくさん遊ぶと、自然とお腹がすくのでしょう。残食はほとんどありません。給食のメニューはホームページで毎日公開しているので、子どもを預けていない方も参考にしていだけます。

もあなのおやつ

取材当日のおやつは、十二穀シリアルと五穀クラッカー、りんごの葛煮

地産地消で園舎づくり

食育とともに、「木育」にも力を入れています。空気は体に取り入れるものなので、食育と連動していると考えています。内装には、子どもたちへの影響を考え、防腐剤や防虫剤を使っていない国産の木材を選んでいます。昨年、園舎を新たにした認可外保育施設「めーぷるキッズ」の内装は、木材のうち6割が県産材です。木材を地産地消することで、地域の森林の保全につながるほか、輸送コストを削減し、環境負荷を軽くすることができます。

もあな内装

県産材がふんだんに使われている「めーぷるキッズ」の園舎

地域社会の「協働」を取り戻す

2016年4月に私たちの取り組みは10年目を迎えます。都筑区を拠点に活動を続ける中で、この地域の抱える課題を感じ取っています。子どもの増加率が全国でもトップクラスに高いエリアですが、地域での人間関係が希薄です。本来地域社会が持っている、「協働」という機能がなくなっています。
私たちは、保育園を地域に開くことで、不特定多数の人たちが混じり合う場を設けていきたいと考えています。持続可能な社会づくりというコンセプトを軸に、コンサートやセミナー、ワークショップなど、さまざまな企画で施設を開放していきます。未来をつくる子どもたちのために、どういう支援が必要かアンテナを張りながら、社会的なニーズにこたえていきたいです。

子どもたちのふるさとを

子育てをしている方々には、ここが子どもたちのふるさとになる、ということを伝えたいです。皆さんが生まれ育ったふるさとには、さまざまな地域のかかわりがあったはずです。子どもたちの未来のために、いかに地域とかかわり、地域づくりに寄与していくか、ということを考えていただきたいと思います。

NPO法人もあなキッズ自然楽校

0〜2歳を対象とした「もあな保育園」「めーぷる保育園」「もあな こびとのこや」、3〜5歳を対象とした「めーぷるキッズ」の4つの保育施設の運営と、小学生には学童保育「もあなのいえ」や「海山キッズ」「冒険キャンプ」という自然体験事業を展開。
HP:http://moanakids.org/official.html

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